(有)つじ農園 辻正之様 突然のメール失礼いたします。 私は長野県の南部、静岡県、愛知県との県境に程近い泰阜村(やすおかと読みます)に 住んでいる川上和浩と申します。 お忙しいところ大変申し訳ありません。 私は、昨年の4月から東京に本部のある「地球緑化センター」というNPO法人が取り組む 事業の1つ「緑のふるさと協力隊」という1年間の長期ボランティア活動に参加し、その 派遣先が長野県泰阜村でした。 この「緑のふるさと協力隊」は、田舎に興味のある若者が若者の力で村おこしをしたい と思っている自治体へ住みながら1年間の活動をするプログラムで、その仲介役を地球緑化 センターが行っています。いわば「大人版山村留学」のようなものです。 このプログラムは今年で17年目を迎え(私は16期でした)、派遣先での隊員の定住率は 約4割と非常に高いため、年々受け入れ自治体の数も増えていっています。 私自身、生まれも育ちも東京でしたが、ずっと田舎に対する憧れを持っていました。 それは植物好きが講じて農業への興味に変わったことが大きく、中学卒業後は都内の農業 高校へ、大学も東京農業大学へと進学し、就職も外食産業に決まっていました。 しかし、そのまま就職することへの不安と、田舎に対する憧れが再びふつふつと湧き上がって きたため、先方には大変迷惑をかけてしまいましたが、内定辞退という形をとりました。 内定辞退したものの、その先の進路が決まっているわけもなく、就職活動を再開するものの 自分の納得出来る就職先は見つかりませんでした。そんな矢先見つけたのがその協力隊事業 だったのです。 この活動は1年間の時限付きですが、泰阜村の他にはあまりない環境や人柄に魅せられて残り たいと思うようになりましたが、住むにしてもそこで生活をしていけなければ残れません。 そんな中、たまたま今年3月で閉校・合併する村の小学校跡地利用の話が持ち上がり、小学校 の跡地を利用して新規就農者が自立できるモデルケースを作ろう、というプロジェクトが 今私を中心にスタートしています。 泰阜村は人口1900人をもうじき切るという位の小さな村で、周囲を山と川とに囲まれた 山間地に位置します。起伏が激しく、村の北地区で800m弱、南で300〜400mと南北で400m 程度の標高差があります。また耕作面積も少なく、同時に農業従事者の高齢化も深刻です。 今後5〜10年の間に高齢化による人口の自然減により、人口が1600人程度にまで低下する との予測もあり、第一次産業の衰退は加速の一途をたどっていくことは必須です。 そんな農業の危機的状況の中で、農業で自立が出来る基盤づくりが急がれます。 泰阜村のような道も悪く土地も狭い特異な環境下でも農業収入が手取りで200〜300万 少なくとも手元に残るようなモデルケース作りに、狭い土地でも回転数を上げられる ソイルブロックによる周年栽培を今年の4月から本格的にはじめ、ホウレンソウを中心に 品種選定や土の配合などの試験栽培を産直組合のホウレンソウ部会の方と共に行っている ところです。 この事業自体は村の事業として行われており、私の立場も総務省が実施する「地域おこし 協力隊」として昨年までのNPO法人の所属から村の嘱託職員扱いへと変わっています。 そして4、5年後をめどに法人化する予定です。今はそこへ向けた準備期間ということに なります。 ただ、土の配合割合や定植後の活着不良、病虫害の問題等課題も多く、安定生産とまでは 程遠いですが、それでも昨年苗の不調により出荷できなかった7,8月も今年は出荷できて います。 以前から、熊本県で辻さんがソイルブロックによる移植栽培を行っていることは現代農業 等で知っていましたが、なかなか連絡するまでに至っていませんでした。 このような形で連絡を差し上げたのは、ソイルブロックによる栽培を行っている生産者の 方が周りに居なく情報に乏しいこと、やはり同じ栽培方法で作っている方のお話や実際 作っている圃場の様子などを実際に見聞きすることが今後の栽培において必要不可欠 なことではないだろうか、と思いこの度連絡させていただきました。 出来れば是非一度見学等させていただきたく思っています。 お忙しいこととは思いますが、返信いただければ幸いです。 長文失礼いたしました。よろしくお願いします。 *********************** 長野県泰阜村 地域おこし協力隊 川上和浩 Tel:080-6147-0259 E-Mail:kazuhirofamily@gmail.com